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どうしてシスターに?

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シスター マリア・ステファナ 近藤慶子

粘って、祈って

シスター近藤

入会して早46年の月日が流れた。受洗から入会までのことがまるで昨日のことのように思い出される。ある修道院に公教要理(カトリックの教え)の勉強に通い始めたころ、すでに受洗していた姉とわたしは両親に呼ばれた。「なぜ洗礼を受けたいのか」との質問に、姉は明瞭にカトリックの教えについて説明し、「真の宗教だと心から信じている」と言った。

わたしは、本当は修道院に入りたい一心で勉強に通っていたので、それを言えば修道生活はおろか、洗礼の許しももらえないと思い、メソメソ泣くばかりだった。勉強を始めてまだ日も浅かったので、言うべき言葉にとまどい、小さな声で「洗礼を受けなければ救われないから」と言った。…今どきこんなことを言ったら多くの人からひんしゅくを買うだろう……。

父は「おまえは何もわかっていない。洗礼を受ける資格もない」と、許可どころではなかった。結局、母がシスターにお会いしてお話を伺うことになり、その場はなんとか逃れることができた。次の日、母と一緒に修道院に行った。シスターは、カトリックについてとても分かりやすくお話ししてくださった。母はシスターの感じの良さと修道院の雰囲気から、修道院について持っていたイメージも随分変わったようだった。数日後洗礼の許可が出た。

受洗してまもなく、神父様に「トラピスチヌ修道院に入会したい」と心の内をお話しした。神父様はトラピスチヌの院長様をよくご存じで、すぐ紹介状を書いてくださった。受け取った返事は「受洗して少なくとも1年半か2年経ていること」ということで、わたしはその間、修道院の幼稚園で働くことになった。

その頃、東京の女子パウロ会の志願者だった姉が、女子パウロ会の精神のすばらしさ、その活動について度々手紙で伝えてきた。わたしはだんだんと女子パウロ会に心が向き始めた。トラピスチヌ修道院を紹介状を書いてくださった神父様には申し訳なかったが、女子パウロ会に入会を決めた。入会して、使徒職で出会う人々、道を歩いていて出会う若い人々のだれもかれも修道生活に招きたくなるほど、心は喜びでいっぱいだったことを思い出す。

神様のあわれみは限りなく、大きな犠牲を払った両親にも豊かな恵みをもって報いてくださった。父も母も自ら望んで洗礼の恵みを受け、わたしがこの道を選んだことを喜び、感謝しつつ天国に旅立った。主キリストに魅了された大勢のシスターたちとともに生きるしあわせを新たにかみしめている。


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