home修道生活を考えている方へどうしてシスターに?>シスター マリア・アガタ 谷口厚子

どうしてシスターに?

バックナンバー

シスター マリア・アガタ 谷口厚子

主イエスのめぐみに満たされて

シスター谷口


あれから40年。「母ちゃん、お金ばいっぱい送ってあげるけんね。」修道院とは無縁のことばを残して船に乗り込みました。暖かな春の日差しの中、ふるさとを後にした日のことを思い出しています。

行ってみたいという思いから、貧しく小さな家を出たのは13歳のときでした。学生志願者としてはじまった歩みが、今も続いているのが不思議でなりません。小さな田舎娘は、父と母の懐から神様の懐へ、生活の基盤を移して、修道院で育ったのでした。

貧しかった家庭に比べれば、修道院の生活は何不自由ない恵まれたものでした。明るい性格、神様に信頼する心、惜しみなく働くことなどは、貧しさによって培われ、修道院で生活するために準備された土壌と思えるのでした。

わたしは8人兄弟姉妹の5番目です。生活力は、「見、聞き、倣う」という生きる姿勢からきています。そのことに気づいたのはずっと後のことでした。その反面、知的学力は乏しく情けないものです。このような中でも、努力できたのは、ここにわたしを置いてくださった主イエスの恵みです。

その主イエスは、わたしの傍らからかたときも離れることなくわたしを養い育ててくださいました。それは、わたしの家に最初に訪問してくださった2人のシスターを通して「来てみなさい」と声をかけてくださったお方です。「来てみなさい」と成長していく節々でその声を聞き、信頼することができました。そして、どんな状況においても、恵みに不足することがありませんでした。むしろ、いつも満たされていたのです。

年を重ねるにしたがって、わたしは愛され招かれていることを、いっそう深く感じ知るようになりました。わたしが今修道院にいることこれこそ、神様の優しさのあらわれです。これからもこのお方に信頼をおき、福音の伝達者として「使っていただける者」でありたいと願っています。

すでに天に召された父母に特に感謝しています。神に信頼をおき素朴に生き抜いた信仰。それを、わたしは命をいただいた瞬間から呼吸し生きることができました。そのよろこびと感謝です。

すべてのものにおよぶ神様の力と、あふれるほどの豊かな恵みに「ありがとう」の祈りをささげながら。


▲ページのトップへ