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山本神父入門講座

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1.まずイエスと知り合いになろう

山本襄治神父

読者の皆さん、はじめまして。今日からキリスト教入門講座を始めます。1年間の長丁場です。よろしくお願いいたします。

こう言ったとたん、読者の皆さんから質問ぜめを受けているような気がして怖くなった。受胎告知と処女懐胎、復活、奇跡、三位一体、ローマ法王とバチカン、カトリックとプロテスタント、司祭の独身制、離婚と再婚、人工妊娠中絶、進化論、遺伝子操作……。教え、おきて、祭儀、教会、組織の各部門についてたくさんの質問が次々と出てくるにちがいない。

うまく答え切れるかと不安になった。しかし、「48回もあるのだ、少しずつ答えていけばいいのだ」と考えると、落ちついてきた。基礎的、中心的なものから順次、取り上げていこうと思う。


キリスト教の中心は、イエス・キリストである。「キリスト」は、苗字ではなく、救い主を表す称号である。したがって、「イエス・キリスト」は、ただの呼び名ではなく、「イエスはキリスト・救い主である」というキリスト教の信仰の簡潔な表現である。


それでは、イエスはどんな救い主なのか。この問いに答えるのが、新約聖書、特に、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネによる、4つの福音書である。福音書は、イエスの宣教を描きながら、ときには旧約聖者を引用して、イエスがどんな方であったか、どんな救い主であったかを描き出そうとしている。

福音書を書いたイエスの弟子たちは、自分たちが信仰したイエス・キリストを紹介し、読者が、イエスと知り合いになり、友人になることを望んでいる。入門講座の最初の課題は、紹介されたイエスと知り合いになることである。


それでは、ルカによる福音書の第4章にある、故郷ナザレの会堂で、イエスが安息日に預言者イザヤの巻物を朗読された場面を読みながら、イエス紹介を聞こう。

 「『主の霊がわたしの上におられる。
 貧しい人に福音を告げ知らせるために、
 主がわたしに油を注がれたからである。
 主がわたしを遣わされたのは、捕らわれている人に解放を、
 目の見えない人に視力の回復を告げ、
 圧迫されている人を自由にし、主の恵みの年を告げるためである。』

 イエスは巻物を巻き、係の者に返して席に座られた。……
 
 そこでイエスは、
 『この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した』
 と話し始められた。」                (4章18~20a, 21節)

イエスが読まれたのは、旧約聖書イザヤ書(61章1~2節)で、ユダヤ人たちが、漠然と描いていた救い主の姿を表している箇所である。ルカはイエスの姿を描くための序文、あるいは、枠としてこの会堂の場面を描いたと考えてもよい。

福音書を読み進むにしたがって、引用箇所の一行一行が、イエスの宣教活動の中で具体的な姿を取り、イエスはどんな方なのか、どんな救い主なのかを示してくれる。


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