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 僕のピアノコンチェルト

2007年11月

Vitus

僕のピアノコンチェルト

  • 監督:フレディ・M・ムーラー
  • 脚本:ペーター・ルイジ、フレディ・M・ムーラー、ルカス・B・スッター
  • 出演:テオ・ゲオルギュー、ファブリツィオ・ボルサニ、
        ブルーノ・ガンツ、ジュリカ・ジェンキンス、ウルス・ユッカー
  • 配給:東京テアトル

2006年 スイス映画 121分

  • 2006年度アカデミー賞外国映画賞スイス代表作品
  • 2006年ベルリン映画祭正式上映作品
  • 2006年ローマ国際映画祭観客賞受賞
  • 2006年シカゴ国際映画祭観客賞受賞
  • 2007年スイス映画賞最優秀作品賞受賞、他多数授賞

特別な才能をもらったがゆえに、何かと特別扱いされることに嫌気を感じ、普通の人になりたい……と願った少年と、少年の家族に対しての大きな愛のお話です。

物語

幼稚園に通うヴィトス(テオ・ゲオルギュー)は、みんなとちょっと違っていた。ホームパーティーでショパンのピアノ曲を弾きこなして大人を驚かせ、幼稚園の教室では地球温暖化について語って他の園児を不安にさせて幼稚園の先生からここには来ないでくれと言われ、家では難しい辞書を読みふけっていた。ヴィトスはあまりにもIQが高すぎたのだ。大人たちは彼をどう扱っていいか、手をこまねいていた。しかし、会社で補聴器の開発をしているパパのレオ(ウルス・ユッカー)もママのヘレン(ジュリカ・ジェンキンス)も、ヴィトスのすばらしい未来を想像して、「神童」である我が子の才能をさらに伸ばそうとしてやっきになっていた。

ママは、ヴィトスを有名なピアニストのところへレッスンにつれていったが、気に入らないヴィトスは演奏をせず逃げ出してしまった。飛び級で行った高校では、クラスの生徒たちからからかわれ孤独を味わっていた。自分の持っている能力ゆえに、他人と交わることができず不自由さを感じていたヴィトスが、唯一自由になれるのは大好きなおじいちゃん(ブルーノ・ガンツ)の家だけだった。ヴィトスをそのまま受け入れてくれるおじいちゃんに、ヴィトスは何でも相談することができた。

僕のピアノコンチェルト

「他の人間になりたい。普通の人間になりたい」と思いつめていたヴィトスは、おじいちゃんから「大事なものを手放してごらん」というアドバイスを受ける。そしてヴィトスはひとつの決断をする。ある夜、おもちゃの羽をつけたヴィトスは、ベランダから空に向かって飛びだした。ヘレンは、庭に倒れているヴィトスを見つけ病院につれていく。幸いけがはなかったが、衝撃が原因だったのだろうか、驚いたことに彼のIQは普通の人並みになっていて、ピアノの才能もなくなっていた。ヘレンの失望は大きかった。しかし、ヴィトスは、……。

 

12歳のヴィトスを演じたテオ・ゲオルギュー君は、実際に2004年のサンマリノ国際ピアノコンクールや第一回フランツ・リストコンクールで優勝し、すでにヨーロッパ各国でコンサートを開いて演奏活動をしている13歳のピアニストです。

見終わった後、なんともいえない爽快感を味わいました。ヴィトス少年は家族の窮地を救うために大活躍するのでが、こきみよいほどの働きで、もっている能力は、こういう具合に使う=活用するものなのね、と納得させられてしまいました。ヴィトスのような驚くべき才能はもらっていませんが、凡人である私も、それなりに与えられた能力や自分らしさを彼のようにフル活用できたらどんなに喜ばしいことだろう。能力の有無で比較するのではなく、一人ひとりがいただいているその人らしさを、他者に対して精一杯に使うことはすばらしいことなのだと実感しました。家族に対して、他者に対してやさしくしたいという思いがわき出てきて、元気をもらいました。

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