Laudate | 女子パウロ会公式サイト

第2の人生を、今までの生活からまったく違った場所で過ごしたいと、7人の男女が、ホテルの宣伝文句に乗せられてインドへやってきました。活気にあふれるインドの街、こだわらない人柄、希望ある若い力にとまどい翻弄されながらも、次第に新しい道を見つけていく、シルバー世代に贈る人生のさわやかソングという感じの映画です。

物語

「夫を信じて過ごしてきた。しかし、亡くなった夫には多くの借金が……。人を信じることはむずかしい。かつて支配していた植民地インドで余生を過ごそう」そう決心したイヴリン（ジュディ・デンチ）は、家を売って借金の返済に当て、一緒に暮らそうという息子の誘いを断って、インドの高級リゾートホテルでのプランに申し込み、空港へとやってきた。

空港には、同じように高級リゾートホテルで心地良い日々を過ごそうと、6人の男女が集まったきた。ダグラス（ビル・ナイ）とジーン（ペネロープ・ウィルトン）夫妻は、イギリスで家を買うために当てにしていた退職金が無くなり、インドを選んだ。長い間メイドとして働き、今は車いすに乗っているミュリエル（マギー・スミス）は、股関節の手術を受けるために大嫌いなインド行きを決心した。独身のノーマン（ロナルド・ピックアップ）は、異国で女性を見つけたいと思っている。結婚と離婚を繰り返して孫もいるマッジ（セリア・イムリ）は、お金持ちの男性を探すこと。判事だったグレアム（ロナルド・ピックアップ）には、数十年ぶりに会いたい人がいたが、どうしようか迷っていた。

到着した空港の清潔さと落ち着きに満足する7人。しかし、そこまでだった。外へ出ると、太陽が照りつける暑さ、ごったがえす人々と街の喧騒。乱暴な運転……。上品なイギリスとはまったく違うエネルギーの爆発するインドに目を見張るばかりだった。しかし、さらに驚くことが待っていた。

「インドの豪華邸宅で豊かな暮らしを」「眺めのよいテラス、明るい中庭、屋根付きのバルコニーのある美しい高級リゾートホテル」。写真と歌い文句を信じてやってきたのに、連れてこられたのは、ホテルとは言いがたい廃墟同然の建物だった。

インターネットに出したPRが功を奏し、お客さんをゲットしたが、準備が整わないうちに当日を迎えたソニー（デヴ・パテル）は、中庭でとまどう7人のイギリス人を迎え、バルコニーの上から手を広げて叫んだ。「ようこそ！　マリーゴールドホテルへ」。

ソニーは、ホテルを復活させて世界中から来る人に泊まってもらおうと夢見ていた。恋人のスナイナと一緒に。しかしマリーゴールドホテルは、2人の兄が相続したもので、母と兄たちは売却を考えていた。イヴリンらはホコリだらけの部屋を片付け、それぞれの居場所を準備しはじめた。

何の経験もないソニーの接客は、とても満足のいくものではなかったが、7人は文句を言いながらも、マリーゴールドホテルを宿舎にした。イヴリンは、「変わるには、もう歳だと思うときもあるけれど、本当の失敗とは、何もしないこと」と、街に出て行き、職探しをはじめる。ダグラスも「色、色彩、光、笑顔がすばらしい」と、インドに魅力を感じていく。しかし、ジーンは、インドを受け入れることができず、部屋から出ようとしなかった。ミュリエルは、インド人を嫌っていた。

アカデミー賞女優のジュディ・デンチをはじめとし、シルバー世代を演じる7人は、個性あふれるイギリスのベテラン俳優です。俳優としての長い経験の積み重ねが、登場人物を豊かにし、歳を重ねるということのすばらしさをかもしだしています。

インドの風に吹かれ、今までのかたくなさから解放されて、自分の人生を素直に生きはじめていく7人。笑いの中にも、人生を見つめさせる奥深い作品です。