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はなちゃんのみそ汁

2016年 1月

 はなちゃんのみそ汁

  • 監督・脚本:阿久根知昭
  • 原作:安武信吾、 安武千恵、安武はな
  • 音楽:石橋序佳
  • 主題歌:一青窈「満点」
  • 出演:広末涼子、滝藤賢一、赤松えみな、一青窈
  • 配給:東京テアトル

2015年 日本映画 1時間58分



2014年、日本テレビの「24時間テレビ 愛は地球を救う」の中で、ベストセラーとなっていた「はなちゃんのみそ汁」が、ドラマとして放送されました。その感動が今度は映画となって登場しました。重い内容のドラマでシリアスな演技で注目されている滝藤賢一が、娘と暮らす愛すべき父親として柔らかい雰囲気を出しています。


物語

朝。かつおぶしを削る音が台所に響く。やがて、小さな手が、みそ汁の入ったお椀を、テーブルに運んでいく。「パパ、みそ汁できたよ~」

結婚を前にして乳がんにかかったことを恋人・千恵(広末涼子)から打ち明けられた信吾(滝藤賢一)は、千恵とともに生きることを決め、互いの両親を説得して結婚する。

抗がん剤の影響で卵巣の機能が低下し、出産をあきらめていた千恵は、妊娠していることを知る。産むことによって自分のいのちが危なくなるかもしれないが、千恵は新しいいのちの誕生を選ぶ。周囲の支えを受けて、千恵は無事女の子を産むことができた。「はな」と名付けられた女の子は、元気に育っていった。

しかし、はな(赤松えみな)が4歳のとき、検診を受けた千恵は、がんが全身にひろがっていることを知る。病と闘いながら、千恵は、自分がいなくなった後のことを考え、はなにみそ汁作りを伝えることを決める。

 はなちゃんのみそ汁
(C) 2015「はなちゃんのみそ汁」フィルムパートナー


はなの4歳の誕生日。千恵は誕生プレゼントとして、はなにエプロンを贈る。エプロンをつけてうれしくなったはなに、「みそ汁が作れれば、どこでも生きていける」と、千恵はかつおぶしを削ることから教える。包丁を持つ手もおぼつかない小さな子に、時にきびしく、ひとつひとつ教えていく。母と子の大切なときがすぎていく。

そんな妹を、千恵の姉の志保は、あたたかく見守る。音楽学校時代からの友人の奈津子が声楽家として活躍している姿を見て、コンサートでステージに上がることを夢見ていた若いころを思い出す。家庭に入った千恵には、もうそのような機会はないだろうと思っていたが、志保と奈津子がステージに立たないかと声をかける。体力が危ぶまれた。

 はなちゃんのみそ汁
(C) 2015「はなちゃんのみそ汁」フィルムパートナー


 

限りあるいのちの日々を受け入れる苦しさや、辛い闘病生活を描くのではなく、自分がいなくなった後でも自分の力で生きていけるように娘に伝えたいという思いと、そんな妻を愛情深く見つめる夫の姿を中心に描いていくことで、生きることの崇高さに触れています。

母親の思いを今も大切にしてみそ汁を作り続けるはなちゃんの中で、お母さんが生き続けていることを感じ、千恵さんの選択のすばらしさを思いました。


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