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偉大なるマルグリット

2016年 2月

MARGUERITE

 偉大なるマルグリット

  • 監督・脚色・脚本:グザヴィエ・ジャノリ
  • 出演:カトリーヌ・フロ、アンドレ・マルコン、ミシェル・フォー、クリスタ・テレ、シルヴァン・デュエード
  • 配給:キノフィルムズ

2015年 フランス映画 2時間9分


物語

1920年、フランス郊外にある、男爵の邸宅。大勢の貴族たちが集まり、恒例の慈善音楽会が開催されている。主催者は、男爵夫人のマルグリット・デュモン(カトリーヌ・フロ)。マルグリットから招かれた新人歌手・アゼル(クリスタ・テレ)たちの美しい二重唱に拍手がおくられた後、いよいよ当音楽会の主催者であり、メインの歌姫であるマルグリットの登場だ。しかし、客の幾人かは、扉の閉じた隣の部屋で酒を飲んでいた。「ドアを閉じてくれえ。あの、騒音に耐えられない」と。

マルグリットは、夫のジョルジュ・デュモン(アンドレ・マルコン)が帰っているかどうかを気にしていた。しかし、夫は、木の下で、車のエンジンが故障して動けないでいた。いや、妻の歌声を聞きたくないので、いつもこの木の下で時間をかせぐのだった。

広間には、大勢の来客の喝采を受け新聞でも称賛される評判の男爵夫人の歌声を聞こうと、新聞記者のポーモン(シルヴァン・デュエード)が、もぐりこんでいた。楽団の演奏が始まった。マルグリットの登場する姿は堂々としたもので、オペラ歌手のようだった。期待できそうだ。そして、歌が始まった。しかし、これは。いったい何が始まったのだ! これはひどい。おもわず吹き出しそうになった。音がはずれている。そう、マルグリットは音痴だった。しかし、だれも笑わず、彼女は最後まで歌いきると、貴族たちの大喝采を浴びた。ポーモンも拍手をおくった。おみごと! 翌日の新聞は、いつものごとく、男爵夫人の歌をほめる記事が出ていた。ポーモンもだ。

 マルグリット
(C) 2015 - FIDELITE FILMS - FRANCE 3 CINEMA - SIRENA FILM -
SCOPE PICTURES - JOUROR CINEMA - CN5 PRODUCTIONS - GABRIEL INC.


マルグリットは歌に財産をつぎこんだ。歌だけでなく、舞台衣装を身にまとってあらゆるオペラの主人公になりきり、撮影をしていた。

ポーモンから誘われたいかがわしい音楽会で歌い慈善倶楽部から除籍されるが、そこで会衆の前で歌う喜びを覚えたマルグリットは、「音楽は観客の前で成立する」と悟り、本物のコンサートがしたいと、パリでリサイタルを開くことを決心する。ジョルジュは、マルグリットが大衆の前で恥をかかないように真実を告げようとするが、できなかった。マルグリットは、有名なオペラ歌手ペッジーニ(ミシェル・フォー)を個人教授にし、レッスンを受けはじめた。厳しい内容にも必死でついていくマルグリットだが、果たして、リサイタルは成功するのだろうか。

 マルグリット
(C) 2015 - FIDELITE FILMS - FRANCE 3 CINEMA - SIRENA FILM -
SCOPE PICTURES - JOUROR CINEMA - CN5 PRODUCTIONS - GABRIEL INC.



 

実在したオペラ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンスをモデルにし、コミカルに描いた作品です。たしかに耳をふさぎたくなるような声と音程ですが、マルグリットの堂々と歌う姿に引き込まれ、気持ちのよいものを感じます。カトリーヌ・フロの魅力でしょうか。おおらかで、気前がよく、若い才能を育て、慈善事業もし、何不自由のない豊かな生活をしている男爵夫人のマルグリット。しかし、歌うことに全精力を使い果たしている彼女は、いったい何を求めているのでしょう。



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