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お薦めシネマ
アルプススタンドのはしの方
2020年 7月
- 監督:城定秀夫
- 脚本:奥村徹也
- 原作:籔博晶、兵庫県立東播磨高等学校演劇部
- 出演:小野莉奈、平井亜門、西本まりん、中村守里、黒木ひかり、目次立樹
- 配給:SPOTTED PRODUCTIONS
2020年 日本映画 75分
- 大阪アジアン映画祭正式出品作品
この映画の舞台は、ある高校野球部の、夏の甲子園を目指した試合の応援席です。試合の相手は、甲子園の常連校、とても勝てるとは思えない。しかし、応援団とチアリーディングのリードで、高校生たちが大きな声でのどをからしながら「がんばって~!」と心から叫んだとき、変化が生じます。
映画「アルプススタンドのはしの方」は、第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞を受賞した、兵庫県立東播磨高等学校演劇部の戯曲が原作となっている青春ドラマです。2019年に浅草九劇で演じられ、「浅草ニューフェイス賞」を受賞しました。
物語
高校生の安田あすは(小野莉奈)が所属している演劇部は、がんばって県代表となり、次は関東大会だと意気込んでいたが、部員がインフルエンザにかかり出場することができなくなった。病気だったからしょうがないと口では言っているが・・・。
「しょうがないと思って受け入れなければいけないことって、あるよね」
野球部の試合のアルプススタンド。生徒たちはみな応援団の声にあわせて応援しているが、あすはは応援席から少し離れたアルプススタンドの端っこで、同じ演劇部の田宮ひかる(西本まりん)としゃべっている。そこへ英語教師で熱心なの厚木先生がやってくる。「おまえらもっと前の方で応援すればいいだろうが。大きな声を出して応援しろ!」
(C) 2020「アルプススタンドのはしの方」製作委員会
ふと気がつくと、元野球部の藤野富士夫(平井亜門)がとなりのベンチに座っている。一生懸命がんばったが、打席に出ることはできなかった。マウンドの仲間が気になる。
「大きな声で応援しようよ! がんばれ~!」また厚木先生がやってくる。
学校が終わるとまっすぐ家に帰り、友達がいない宮下恵(中村守里)が、一番上の席で、遠くの試合を眺めている。
(C) 2020「アルプススタンドのはしの方」製作委員会
宮下が気になるのは、成績一番で、今日の応援の中心でがんばってトランペットの音を出している吹奏楽部部長の久住智香(黒木ひかり)だ。彼らから見たらがんばって成功しているひとりだ。しかし、あすはは、グランドに出られない人ががんばったって、仕方ないと思う。
彼らが日常の中のもんもんとしたところを話していると、互いの気持ちがぶつかり合い、次第に熱を帯びてきて、ひかるが声をあげる。「がんばって~!」 するとどうだ、バットの快音が聞こえてくる。
部活のこと、異性への思い、成績の話、友達のいない高校生の内面などが話され、若い人々の日常が垣間見られて興味深い。高校生活にふてくされていた彼らが、この短い時間、アルプススタンドのはしの方で体験したことは大きいと思います。